国家戦略としてのビットコイン
トランプ政権が切り開くBTCの未来

ビットコイン（BTC）が国家戦略の中心に躍り出る——数年前なら考えにくい話でしたが、今やアメリカがBTCに注目する理由は明確です。経済の安定を支える盾として、そして「デジタルゴールド」としての価値が評価されているからです。その背景を掘り下げてみましょう。

まず、ドルの価値が低下している現実があります。インフレの進行や連邦準備制度（FRB）の過剰な通貨供給により、ドルの購買力は徐々に失われつつあります。特に2020年代以降、量的緩和や財政赤字の拡大がこの傾向を強めています。BTCは中央銀行の影響を受けない資産として、価値の保存手段になり得ると期待されています。

次に、アメリカにとってのドルの重要性です。世界の基軸通貨であるドルは、国際貿易や金融市場での優位性を支える柱であり、アメリカの経済的影響力の源泉でもあります。しかし、新興国のドル離れや地政学的緊張の高まりが、この地位を揺るがしています。

そこで注目されるのが、BTCをドルの裏付けとして活用するという発想です。
かつて金がドルの価値を保証したように、BTCがデジタル時代における「裏付け資産」として機能する可能性があります。これにより、ドル依存のリスクを軽減しつつ、次世代の金融システムでの主導権を維持できるかもしれません。

2025年3月7日、ホワイトハウスで開催された初の暗号通貨サミットで、トランプ大統領は明確なメッセージを発しました。「アメリカはビットコインを売らない。これからはすべてのビットコイナーが知る『決して売らない』ルールに従う」と。この発言は、連邦政府が押収したBTCを「戦略的準備金」として保持する方針を強調したもので、2024年7月大統領選挙の際に示した「BTCは国家の財産」という姿勢が具体化した瞬間です。

トランプ氏は、過去に政府が押収BTCを売却したことを「愚かな行為」と批判し、今後は保有を続けることで価値を最大化する意向を示しました。
Bitwiseは、この供給減少が2025年末にBTC価格を$100,000～$200,000に押し上げると予測しています。

暗号通貨サミットでトランプ大統領はもう一つ重要な発言をしました。「納税者に負担をかける形で暗号資産を追加購入することはない」。この発言は、国民の税負担を増やさずにBTCを増やす方法を模索する政府の方針を裏付けます。

3-1. シンシア・ルミスが描く「金からBTCへ」の大胆な一手

上院議員シンシア・ルミスは、金準備からBTC準備への転換を提案しています。現在の金準備（8,134トン、約6000億ドル相当）を再評価し、5年間で100万BTCを取得する計画です。

3-2. 押収資産を活用した賢い取得戦略

政府はすでに、犯罪捜査で押収したBTCを活用する案を計画しています。約20万BTC（約175億ドル相当）を「戦略的準備金」に組み込むことで、新たな購入をせずとも資産を増やせます。

アメリカの国家債務は36兆ドルに膨れ上がっています。この課題に対し、トランプ政権はBTCを活用した解決策を模索しています。暗号資産推進派の予測では、2030年にBTC価格が$295,000～$984,000に達する可能性があるとされBTCを利用した債務の解消も期待されます。

トランプ政権のBTC政策は、アメリカが暗号資産を必要とする理由を明確に示しています。CNBCは2025年に$200,000を超える可能性を予測しており、アメリカがBTCを手中に収めることで、世界の金融秩序が変わる瞬間が近づいているという報道もあります。